■立ち入り句とは?

 

秋の蚊が吸おうとするが身の終わり

(あきのかがすおうとするがみのおわり)  この句にはある種類のことばが多く隠されています。何でしょうか? 意味は文字通り、夏が過ぎて涼しくなった秋、蚊が血を吸おうとして寄ってくるが、そこでパチンとつぶされて身の終わりというわけです。 音は変わらなくてもこのように書いてみたらいかがですか?

 

安芸(あき)の加賀(かが)周防(すおう)と駿河(するが)美濃(みの)尾張(おわり) 

 

旧国名が6ヵ所も読み込まれています。このように表(おもて)はちゃんとした意味を取りながら、裏に「ある種」のことばが隠されている5.7.5は他にも多く作れますが、肝心なことは同じ種類のことばが組み込まれているということ。国名あり、花の名あり、動物名ありとなんでもよいのですが、同じ句のなかには同じ種類のものがはいります。動物なら動物だけで統一してください。もし隠された言葉の意味が安芸だったのなら、安芸をそのまま安芸とは使えません。秋、厭き、空き、開き、などならOKです。

 

例1 長々と姉妹で語る回顧談

(長門、志摩、甲斐の旧国名)

例2 いせいよき若さの終わり鏡告げ(伊勢、伊予、若狭、尾張、加賀)

例3 むつかしい前置き聞いて胃が痛む(陸奥、隠岐、紀伊、伊賀)

 

動物名の入れみです。

例1 たしかここうまいアンパン出すお店(しか、うま、パンダ)

例2 ころんだ子あら災難ねこぶができ(コアラ、さい、ねこ)

 

次はちょっとむずかしいけど十干十二支を入れてみましょう。 

例1 雨土のえにしの恵みうまい米(つちのえ、み、うま、い、の十干十二支)

例2 とりとめの無き日の友は家の三毛(とり,ひのと,い,み、の十干十二支)

例3 かすみたつ野の花ほのか能登の春(み,たつ,かのと、の十干十二支)